まほろば  歌詞

春日山から飛火野(とぶひの)辺り  ゆらゆらと影ばかり泥む夕暮れ
馬酔草(あせび)の森のまよい(馬酔)木に  たずねたずねた帰り道

遠い明日しか見えない僕と  足元のぬかるみを気に病む君と
結ぶ手と手の虚ろさに  黙り黙った 別れ道

川の流れは 淀むことなく  うたかた(泡沫:現実)の時 押し流していく
昨日は昨日  明日は明日  再び戻る今日はない

例えば君は待つと  黒髪に霜のふる迄  待てると云ったがそれは  まるで宛名のない手紙


ねぐらを探して泣く鹿の  後を追う黒い鳥 鐘の音ひとつ
馬酔木の枝に引き結ぶ  行方知れずの懸想文

二人を支える蜘蛛の糸  ゆらゆらと耐えかねて たわむ白糸
君を捨てるか 僕が消えるか  いっそ二人で落ちようか

時の流れは 惑うことなく うたかたの夢 押し流していく
昨日は昨日  明日は明日  再び戻る今日はない

例えばここで死ねると  叫んだ君のことばは  必ずウソではない  けれども必ず本当でもない

日は昇り 日は沈み  振り向けば  なにもかも移ろい去って

青丹よし(あおによし)  平城京(ならやま)の空に  満月




大変難しい歌詞ですが、(歌詞の意味を)知らなかったら知らないでも済んでしまうと思います。
ただ、それでは面白くないので、おせっかいにも講釈しようと云うのです・・・・

最初の「飛火」ですが、これは「とびひ」ではなく「とひ」と読んで欲しいのです。
何故かと云うと「とぶひ」は狼煙(のろし)の事ですから、その昔(律令国家の頃)外敵の襲来に備えて都に急襲を伝える目的があったのです。
狼煙の設備が置かれたというのが地名の由来だから「とぶひ」と読んでほしいのです。

あせびは「馬酔草」と書きますが・・・・牛馬がこの花を食べれば、その含まれる成分によって酔ったようになるということで「馬酔い草」の字が当てられたそうです。
前の「馬酔草」を「あせび」と読み、後の馬酔草は「馬が酔う木:ま・よ・い・ぎ」と読ませて「迷う:まよう」と掛けているのです。

その後が実に風流というか名調子というか・・・方丈記(鴨 長明)から取っているのです。

行く川の流れは絶えずして しかも元の水に非ず
淀みに浮かぶ うたかた(泡沫)は  
かつ消えかつ結びて  久しくとどまりたるためしなし・・・・・


学校で習ったと思います(記憶になかったら「忘れている」だけですよ・・・・これは古典の必須ですから)。

そして、いずれにしろ、明日は明日です。
明日しようと思う事が、必ず明日出来るとは限らなく、明日言おうと思った事が、明日必ず云えるとは限らないのです。

再び戻る今日はなく、今日しなければならないことは、今日をおいてほかにはありません。
今日言わなければならない事は、今日云わなければならないのです。

それが厳然たる事実であって、時の流れなのです。
そしてその時の流れに沿って、粛々と歩いて行かなければならないのが人生、そして宿命なのです。



「黒髪に霜・・・」は解釈が難しいのですが、私は「黒髪が白髪になるまで待つ」というふうに解釈しています。
誇張して言っているのであって、実際には黒髪が白髪に変わるまで待つと云うものではないと思っています。


「ウソではないけれども本当でもない」・・・難しい解釈です。
現実にはよくありそうな話ですから、余計に悩むのかもしれません。

信じる者は騙されますが、かといって、疑えばまたきりがありません。
それだったら「騙されていると思いながらも、信じる方が幸せなのかもしれません・・・・・・・・・」難しいですね。
真実は一つかも知れませんし、人の数ほど真実があるのかもしれません。



私のひとり言ですからあまり気にしないでくださいネ。
やっぱり歌おうかな・・・・意味をしっかり把握できたら歌うかもしれません




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