2011年10月23日 日曜日 ピンチはチャンスだ

NHKの朝の連続ドラマ「おひさま」から引用していますが、「ピンチはチャンスだ」を意識したいと思います。
ちょっと長いのですが、陽子の嫁ぎ先のそば屋「丸庵」が火事になって、何もかもなくしてしまった場面から紹介します


ある晩。眠っている日向子の脇で、陽子は勉強し和成は本を読んでいた。
すると突然、和成は窓の外をにらんだ。「どうしました?」
和成は窓から少し身を乗り出し、遠くを眺める。夜の街の一部が赤く染まっている。「火事かもしれないね」

その時、火事を知らせるサイレンが鳴り響いた。その不穏な響きに陽子は青ざめる。
「俺、ちょっと見てくるから」和成はそう言うと、部屋を出ていった。

しばらくして、和成が店に戻ってきた。
待っていたみんなにむずかしい顔を向ける。「火事は遠いけど、なんだか風がすごく強くなってる。イヤな風だ。
大丈夫だとは思うけど、念のため、大事な物だけ持って、離れよう」


「そうか」と道夫が厳しい表情になる。まだ事態が把握できずに呆然としている女達を、和成が叱咤する。
「ほら、みんな、しっかりしよう。ね」
 「あ、はい」と陽子は二階へと駆け上がる。

準備を終えたみんなは再び店へと集まった。風呂敷を背負い、節子もやってきた。
「大丈夫だね・・・・行くよ」と眠った日向子を抱いた和成が、みんなに声をかける。
「どこに行くんだい」と一番不安そうな顔をした徳子が和成に訊ねる。

「とりあえず、風上の安全な場所に移動するんだ・・・・俺と父さんでもう一度戻るから」
「大丈夫だよ。念のためだよね、和成」 「あぁ」

「よし、行こう」という道夫の声を合図に、みんなは店を出た。サイレンはどんどん大きくなっている。
陽子はみんなと歩きながら、もう一度店を振り返った」
 それが、陽子が丸庵を見た最後となった・・・・・。


家を焼け出された陽子たちは、安曇野の須藤家へと向かった。
たどり着いたのは朝方だった。放心状態のみんなを、良一と茂樹が驚きの表情で迎える。
「申し訳ありません。みんなで押しかけてしまって」
「何を言ってるんだ、和成君」と良一が水くさいとでも言うような表情で言い、茂樹もそれに続く。「そうだよ、当たり前だろう」

しかし、陽子も和成も「すみません」と頭を下げる。
「私みたいな他人まで、本当に申し訳ない」と節子も深々と頭を下げる。
「よしてください、もう・・・・やめましょう、そういうのは、ね」 良一に言われ、道夫が顔を上げる。
そして、心配そうに隣の徳子に目をやる。陽子も徳子の事が心配でならなかった。
炎に包まれた丸庵を見てから、徳子はほとんど口を閉ざしていた。そのうつろな表情は、まるで心が空っぽになってしまったかのようだった。

少し休んだあと、男たちは焼け残った物を取りに、リヤカーを引いて松本へと出かけた。
杏子が気を遣い、「遊びに行こうか」と日向子を外に連れ出す。
節子も陽子に目配せし、奥へと引っ込む。縁側からぼんやりと空を眺めている徳子の隣に、陽子が静かに腰掛ける。

「あ〜〜〜」 不意に大きな声を上げると、徳子は陽子に笑いかける。
「どうしました・・・・?」「ハハ・・・全く、やんなっちまうねぇ・・・・へへ」

陽子は黙って微笑みを返す。「あんた、大丈夫?陽子、ん?」
「はい。お母さんがいてくれるから」「ふふん・・・・あ〜あ・・・へへへ」

どこへ向ければいいのかわからない気持ちに混乱する徳子の手に、陽子はそっと自分の手を重ねた。
陽子の手のひらのぬくもりに、徳子の気持ちが徐々に静まっていく。

「・・・なくなっちまった、丸庵・・・・なくなっちまった」「お母さん」と陽子は握る手に力と心を込めた。
「なくなっちまったよ・・・・・」やがて徳子は子供のように、声を上げて泣きはじめた。


そんな徳子を陽子は両腕で包み込み、優しく抱きしめる。陽子の胸の中で、徳子は泣きつづける。

まるで母のようにコ子を抱きながら、今は自分が踏ん張るときだと陽子は思う。

今まで、どんな時もお母さんの明るい笑顔に助けられてきた。
お母さんは私にとって太陽だった。だから、今度は私の番だ。私がお母さんの太陽になるんだ・・・・。

「大丈夫ですよ、大丈夫。私たちは、これからもっと幸せになるんですから。絶対なるんですから。なってみせますとも。いえ、私が・・・してみせます」

体を離し、濡れた瞳で徳子が陽子を見つめる。陽子は明るく笑っていた。
「こんなことで負けませんよ、私たちは。
こんなつらい思いをしたんだから・・・その分、絶対もっと幸せになりましょう・・・・何倍も幸せになってやりましょう。
前よりももっと立派な丸庵をつくりましょう。・・・ね。いえ、つくりますからね、お母さん。
メソメソしてると、私が勝手に全部決めちゃいますよ。あとで文句言っても知りませんからね」

徳子がかすかに微笑むのを見て、陽子は言った。「しっかりしなさい。ほれ、丸山徳子」

「うるさい」と徳子は陽子のおでこをぺちっと叩く。「いたっ」
「・・・・・あんたの好きになんかさせないよ」「なんだ、つまらないの」「何がだよ」

「もっとメソメソしててくれればいいのに」そう言って、陽子は楽しそうに笑った。
「がおかしいんだよ、陽子」「かわいかったなぁ、今、お母さん」

「・・・・何が」「かわいかったなぁ、弱くて」徳子はうっと言葉に詰まる。
「短かった」と残念そうに息をつく陽子の腕を、いきなり徳子がとり、「生意気言って、この子は」とつねり上げる。
「痛い! ・・・なんですか、もっとメソメソしててくださいよ」「うるさいね、本当に」

「あぁ失敗した。そのままにしておけばよかったぁ。あぁ失敗した失敗した」「しゃくに障るわ、陽子!」
もう一度つねられそうになり、陽子は逃げだす。「待ちな、陽子」「イヤですぅ」

いきなり部屋で追いかけっこを始めたふたりに、奥から戻った節子が目を白黒させる。
陽子を追いかける徳子は、いつしか笑っていた。徳子から逃げながら、陽子は思う。

ピンチはチャンスなんだ。失った分だけ、夢に近づくチャンスなんだ。

そこに杏子と日向子が帰ってきた。部屋をドタバタと駆け回るふたりを見て、日向子は目を輝かせる。
「日向子も鬼ごっこ、やる!」「おいで、日向子! 鬼はおばあちゃんだよ」

「陽子!決して許さないよ、この子」
顔を真っ赤にして追いかける徳子に、「きゃ〜」と笑い声を上げ、陽子と日向子は逃げ回った。



陽子は、家を失った徳子(義母で生家です)が気丈に振る舞っているが、内心嘆き悲しんでいるのを何とかして立ち直らせたいと思っています。
その為に、敢えて憎まれ口を言って徳子の反発心を呼び出すわけです。
泣きながら、笑いながら鬼ごっこをする様子の中に、お互いの気持が凝縮されていると、私は感じました。


一方、私たちは家を新築してちょっと有頂天になっています。(特に長男は)嬉しいんです。
気持ちはわかるのですが、喜んでばかりはいられない・・・・返済が始まるのですから。 
ところが現実は≪お金がない:ピンチ≫なんです。 しかし、このピンチは≪楽しいピンチ≫だと長男の嫁さんが言ってくれました。

私は≪貧乏人は働かなアカン≫と言っています。
貧乏人は働いて、苦労してコツコツ返済していくしかないのです。
その為には健康で、家族が一致協力して、助け合って、働いて返済していくしか方法はないのです。
そこに≪家族の絆≫が生まれるのだと思っています。

10月23日、新築住宅の≪引き渡し≫を受けました。
業者の方からいろんな説明を受け、お祝いの乾杯をしてもらいましたが、業者の方が帰られた後で家族で≪牛丼≫を食べて最初の一夜を過ごしました。
そこで私は言いました≪これから家族で頑張ろう≫家族が結束すれば苦しくはない、必ず返済は出来る。

「楽しい苦労をしよう」

我が家の新しい自宅(二世帯住宅)です。

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