「地球を読む」  読売新聞の記事から引用して、私の感想もちょっと書いています。

イギリス政権からの教訓

日本の政治とイギリスの政治には多くの違いがあります。
例えば、論議を呼んだ消費税が1989年にスタートした際に、当時の竹下首相は、イギリスでは考えられない行動をとりました。
竹下首相は、大平正芳氏のお墓へ行って「遂に使命が達成された」事を墓前に報告したのです。
大平正芳元首相は、消費税を導入しようとしましたが首相在任中に亡くなったのですが、イギリスでは「全くナンセンス」として受け止められています。

このように、イギリスと日本とでは物事の考え方に大きな違いがあり、イギリスの政治体験から日本のための教訓を引き出すことは難しいと思います。
それでも今行われている消費税の引き上げ論議で、イギリスの政治体験から日本の政治が必要としている事を知ることは可能だと思います。

イギリスの連立内政権は、昨年5月の総選挙後、数合わせの結果として誕生しました。
獲得議席は保守党307、労働党258、自由民主党57、諸派28だった。保守党のキャメロン党首には、様々な選択肢があったはずです。
たとえば、保守党だけの組閣も、いくつかの小政党との連立も可能だった。しかし、彼はどちらも拒否したのです。
明確な過半数を持たない政府はあまりにも弱く、国にとって必要だと思う政策を遂行出来ないからです。
そこで彼は、自民党との連立することによって、過半数を大きく超える総議席数を選んだのである。

それ以来、誰もが驚かされたのは、この連立政権の野心の大きさである。
発表した一連の改革を、閣僚の一人は「毛沢東革命」と表現した。極めて抜本的だという意味でこう表現したのです。
最優先事項は、2009年度会計年度に国内総生産(GDP)の11%を超した財政赤字の削減です。2011会計年度までに財政秩序を回復するのが政府目標である。

その為に、付加価値税(日本の消費税)を17.5%から20%に引き上げたのです。その他の諸税の引き上げには限界があるので、
公共支出の削減に焦点を当て、健康医療と政府開発援助(ODA)を別にして、全省庁の支出を4年間で平均19%減らしたのです。
この大削減は、政策と組織の大幅な変更によってのみ可能になるのです。
さらに、連立政権は福祉の給付を受けるよりも仕事をして給料を稼ぐ方が得策となるように、福祉制度を簡素化する10年計画を検討している。

国民医療サービスの抜本的改革は、医師と病院の独立性を高め、資源をもっと自由に使えるようにする。学校も又、よい成績を達成する限り、より大きな自主管理が認められる。
全体目標は、中央政府による細かい管理を減らし、競争原理を用いて公共サービスの質を改善することにある。

この連立政権は、どうしてこんなに大胆になれるのか?
これは、強い意志を持つ一人の指導者の産物ではない。キャメロン首相は社長というより会長として働き、改革の推進は主要な閣僚たちに頼っているのです。
ここには三つの要因があります。
第一は、連立政権が大きな過半数を持ち、2015年まで総選挙に直面しないという事です。
これによってこの政権は、より良い経済状況が生まれる事を期待しながら、現時点では不人気な政策をとる事が出来るのです。

第二は、全体として政府内にも国民の間にも、国は重大な困難に直面してしており、国益のために改革は必要だという意識がある事です。
第三は、連立形成の際に行った政策交渉の合意を、文書にした事である。その文書が現在の政府行動の土台となっており、両党とも簡単に覆すことは出来ない。
これは裏目に出る可能性もある。危険は山ほどある。政府が期待するほど景気が好転しないかもしれない。
公共支出の急激な削減は、新たな景気後退に直結するかもしれない。経費を切り詰めながら、これほど大きな変化を実現できるのかどうか、多くの人々が疑っている。

この改革に対する世間の受け取り方には別の問題も付きまとう。
大学の授業料の値上げは、広範な抗議活動に火を付けた。デモが増えるのは必至である。
また、連立政権の両党とも、世論調査の支持率が急激に低下した。だがここからこの5年間、戦略を基に耐えるしかないのである。


さて本題はここから始める日本の現状打開策についてです。何等かの共通点があるのではないだろうか。

日本も財政赤字の増加を永遠に続けることは出来ない。
高齢化社会における健康福祉制度の維持は、ますます難問になって来る。成長のための新たな処方箋が、とても必要とされている。
だが、自民党も民主党も、最近の日本エイ府は明確な針路を示す事が出来ないままである。

日本の人々の多くは、強いリーダーシップを発揮できる政治家を望んでいる。だがこれは大きな誤りだと思うのです。
結局のところ、日本人は一人では何もできない人が多すぎるのです。
ちょっと言い過ぎましたが、日本は、個人よりもグループの強さで発展してきた国なのです。また、改革を行うのはたった一人の指導者にかかってるのではないのです。


日本にとって大問題は、たとえ衆議院で大きな過半数を持っていても、参議院で法案を阻止されかねない事です。
日本の「ねじれ国会」は、事実上、現在の民主党政府が少数派政権であることを意味します。
民主党はこれを小政党との連立で解消しようとした。だが安定多数どころか、小政党の側が不釣り合いに大きな影響を政策に及ぼす結果となった。

ここから言えるのは、衆参両院で安定多数を持つ政府が出来ない限りは、日本は前に進めないのである。
実際問題としてそれは、民主党と自民党の大連立か、少なくとも政策協力が避けて通れないのである。

またそれ(大連立もしくは政策協力)こそが、驚くほどの成果を生むのである。

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大変分かりにくく、難しい問題をひつこく書いてみましたが・・・・現実は「やぶれかぶれ解散」しかないのではないでしょうか。

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